皆さんは、「耐震診断」という言葉を聞いたり耳にしたことはあると思います。
大きな地震がある度に、ニュースやワイドショー等で取り上げられ耳にされているでしょう。
言葉は知っていても、どういうものか、どのようなことをするのか詳しくご存じないものと思います。
そこで、以下に簡単に説明いたしますので少しお付き合いいただければと思います。
耐震診断とは、
既に建っている建物(以降「既存建物」という)で、
1981年(昭和56年)5月までに建築確認申請をし受理された建築物(旧耐震基準で設計)について、
現行の構造計算基準「新耐震基準」に照らし耐震性の有無を数値で表し確認することをいいます。
その背景として、度重なる地震により法改正が行われてきましたが、
1978年(昭和53年)の宮城県沖地震を契機に1981年6月1日建築基準法施行令改正が行われ、
新耐震設計「一次設計・二次設計」の概念が導入され現行の構造計算基準の元になっています。
1995年1月の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)では、
多くの建築物が破壊や倒壊等の被害を受けニュース等を視て驚いたことと思います。
この震災で旧耐震基準で設計された建築物と新耐震基準で設計された建築物に大きな違いがみられことにお気付きでしょうか。
それは、破壊や倒壊した多くの建築物が旧耐震基準で設計されていたからです。
耐震診断とは、主に旧耐震基準で設計された建築物について耐震性の有無を数値で表し確認することを言います。
上記の説明から皆さんは、
1981年5月までに確認申請された建築物全てが旧耐震基準による設計だと思ってしまうかもしれませんが、
法改正する約1年前から改正内容についてのお知らせや指導が行われています。
建築基準法施行令改正を見据え新耐震基準により設計された建築物があることも忘れないでください。
建築物の着工から完成までに1年、2年程掛かってしまいます。
1982年、83年の完成だといっても新耐震基準で設計されているとは限りません。
入居されているマンションや事務所ビルがいつごろ設計られたか調べてみてはどうでしょうか。
!!ちょっと待って!!
新耐震基準が施行されてから既に35年も経っています。
新耐震基準で設計された建築物であっても、経年や建築物の用途、当時の施工状況によっては建物の老朽化等が懸念されます。
耐震診断の方法には、3つの診断方法があり弟一次診断法、第二次診断法、第三次診断法となっています。
「鉄筋コンクリート造、 鉄骨鉄筋コンクリート造」の建物が主になります。
Is ≧ 0.8
壁量・柱量から耐震性能を計る方法で、簡便法(略算)とも言われています。壁量・柱量は壁・柱の断面積を示し、壁や柱の単位強度(終局強度時の平均せん断応力度)を仮定し、それを壁・柱の断面積に乗じて建物重量と比較する計算方法です。ロ壁式鉄筋コンクリート造や壁の多い建物に適しています。
Is ≧ 0.6
第一次診断より精密に診断する方法で、耐震診断の主流になっています。
柱・壁のコンクリート、鉄筋等の材料強度から柱・壁の終局強度を算出し建物重量と比較する計算方法です。コンクリートの中性化等の試験や建物の劣化状態等の調査を行い、判定に考慮します。
ロ鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造」の建物に適しています。
Is ≧ 0.6
第二次診断では、柱・壁によりますが、ここでは梁も考慮します。
現行の保有水平耐力計算と同程度のレベルで終局強度を算出し建物重量と比較する計算方法です。
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